A Taste of Scotland
The Truth is a Cave
It was the readiness with which he spoke of them. It was the context. He knew that I had arrived in Scotland, for my first visit, just an hour earlier.
2月12日~20日にかけて、日本のスタートアップ関係者がロシアを訪れ、モスクワ、カザン、サンクトペテルブルクでセミナーを開催した。筆者はロシアNIS貿易会の依頼を受け、ビジネスコンサルタントとして、当イベントの企画立案から日本側・ロシア側参加者の集客、現場のコーディネート、PR戦略に至るまで、すべてのプロセスに関わらせて頂いた。この場を借りて、今回のイベントの報告をしたいと思う。
プーチン政権は、2017年から政府のイノベーション戦略である「デジタル経済プログラム」に取り組んでいる。「デジタル経済プログラム」とは、ビッグデータや人工知能などのIT技術を活用して、国民生活の向上や、製品・サービスの質の改善、製造業における生産性の向上を目指す取組である。プログラムの中では、IT産業の成長の土台となる教育機関や研究施設の拡充、IT技術導入にかかるインフラストラクチャの構築、それに伴う法整備、サイバーセキュリティ対策などが施策としてあげられている。 昨年9月、ウラジオストクで行われた第3回東方経済フォーラムでは、日ロ両政府の間で「デジタル経済に関する協力に係る共同声明」や「IT技術の導入によるロシア企業の生産性診断及び裾野産業の人材育成の取組に関する相互理解に関する覚書」といった文書が交わされ、本分野における協力を拡大する取組が模索され始めている。
一方で、日ロのIT分野においては、お互いのビジネス及び技術、また、それぞれの市場が抱える社会課題が明確になっておらず、圧倒的な情報不足が起きている。特に、変化の早いIT産業は、現在ではスタートアップ企業をなくして語ることはできないが、両国のスタートアップエコシステムの情報はほぼ皆無といってよい。

こうした流れを受けて、今回のイベントでは、日ロのIT産業、スタートアップエコシステムにおける情報交換や人的ネットワークの構築を目的として、日本からIT有識者やスタートアップ支援組織の専門家を招いて、ロシア側のカウンターパートと共に、各地でセミナーを開催した。

日本からの専門家としては、スタートアップのニュースを配信するインターネットメディアのTHE BRIDGEとテックウェーブの2社、インキュベーションファンドを運営するサムライインキュベート、大手企業とスタートアップのオープンイノベーションを促進するCreww、メインのコンサルティング事業とは別にスタートアップへの投資事業も行うスカイライトコンサルティング、海外展開を目指すスタートアップ企業のTalentExとBlincam、スタートアップ企業支援に力を入れる福岡市の計8社9名の方に来て頂いた。Each page is counted, but no folio or page number is expressed, or printed, on either display pages or blank pages.
最初のセミナー開催都市であるモスクワでは、ロシアのイノベーション中心地であるスコルコヴォにパートナーとして動いてもらった。午前中は関係者のみのセミナーで、ロシア側からは、経済発展省よりロシア政府のイノベーション戦略、スコルコヴォからロシアのイノベーション中心地としてのスコルコヴォの役割と海外パートナーシップ、ロシア開発対外経済銀行からロシアのイノベーションエコシステムについてなどのレクチャーが行われた。

また、日本側からは、日本大手企業とイスラエルスタートアップのコラボレーション、日タイ両政府によるスタートアップ企業支援の取組などが共有された。
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午後の部はオープンセミナーの形をとり、スタートアップ企業を中心に多くのロシア人参加者が集まった。実際にロシアのスタートアップが日本に進出していく際に抑えるべき、日本の商習慣や業界慣行が紹介され、適切なパートナー選定が非常に重要であることが強調された。また、具体的な進出支援として、国家戦略特区にも指定されている福岡市の取組が紹介された。

ロシア側からは、2000年代に日本進出を果たしているセキュリティソフトの会社、ドクターウェブのボリス氏から、日本進出にあたっての経験が共有された。
二都市目のカザンでは、タタールスタン投資発展庁とカザンのスタートアップを世界に送り出すことをミッションに掲げているパルサーベンチャーキャピタルに力を貸してもらった。滞在初日は2015年にタタールスタン政府と連邦政府の肝いりで建設されたIT集積都市イノポリスを視察し、経済特区の優遇制度や、イノポリス大学の国内外から優秀な学生や教授陣を集める取組についてレクチャーを聞いた。いずれの説明も日本人参加者を驚かせた。
2日目はテクノパークであるカザンITパーク内でセミナーを行った。日本側からは、日本と世界のスタートアップハブシティの比較や、製造業におけるスタートアップ企業と大手企業のコラボレーションの事例が紹介された。また、ロシア側からはレクチャーの他に、地元のスタートアップ企業によるピッチコンテストも行われ、非常に盛り上がった。
最後の都市となるサンクトぺテルブルクでは、毎年多くの優秀なITエンジニアを輩出するITMO大学テクノパークにパートナーとして協力してもらうことができた。日本側からは、80年代のバブル期から現在にいたるまで、日本のスタートアップエコシステムがどのように成長してきたかという全体像が紹介された。

また、ロシア側からは、先日1500万米ドルの資金調達に成功したブロックチェーンスタートアップから、ロシアにおけるICO(イニシャルコインオファリング:仮想通貨を用いた資金調達方法)の事例共有がなされ、日本側参加者はロシアにおけるブロックチェーンスタートアップの可能性に大きな関心を寄せる機会となった。

セミナーの合間には、ITMO大学

テクノパークに入居するスタートアップ企業によるピッチコンテストが開催され、優秀チームには日本への渡航チケットや、イベントの無料招待券がプレゼントされた。

今回のイベントを通して、日ロデジタル協力について、発展していく可能性のある部分と、今後の課題を見つけることができた。まずは、日本側としては、日本国内にソフトウェアエンジニアが圧倒的に不足しており、インドや中国の人件費が高騰している事から、ロシアでのオフショア開発や、海外展開の際の開発拠点にロシアを選択するという可能性があるのではないか。また、日本人参加者が一様に驚いていたのは、ロシア政府や各地方自治体が強力に進めているイノベーション戦略である。とくに、スコルコヴォやイノポリスの取組は、今後のロシアIT産業発展の可能性を大きく意識させた。特定の分野でいくと、ブロックチェーンやマシーンラーニングのスタートアップ企業の技術力に特に注目が集まっていた。

一方でロシア側は、ブロックチェーン関連では、日本の法規制について度々質問がなされ、市場として大きな魅力を感じているとの声が多かった。また、その他の分野でも具体的に日本進出を検討している企業がみられる一方で、やはり適切なパートナーをいかに見つけるかという課題が浮き彫りとなった。ここでは、ドクターウェブ社の事例が参考になるのではないか。ボリス氏は日本に本格進出をする前から、個人的な日本の友人を多くもっていたという。実際の進出にあたっても、友人たちのネットワークが大いに役に立ったそうだ。もちろん、それには彼がモスクワ国立大で日本語を学んでいたという特殊な経歴が関係しているのだが、一方で福岡市の言葉を借りれば、福岡市で起業する外国人起業家は、まずはスカイプでのプレゼンテーションでサービスに興味をもってもらったり、実際に現地で数々のミートアップに参加することで、口コミで名前が広がり、パートナーを見つけることが出来ているという。

日本側もロシア側も情報不足が大きな障害となり、実際に自分の目で確かめるというステップまで進めていないのが大きな問題であることは間違いない。日本側は、そもそもがロシアにネガティブな印象が強い。しかしながら、今回渡航された専門家の方々全員が、実際に来てみると、想像とは全く違うロシアが広がっており、渡航前に比べ、心理的なハードルは大きく下がっているようだ。また、ロシア側に関しては日本への興味はあるものの、日本渡航への心理的ハードルが高い。海外起業家の進出事例や、イベント情報、利用可能な行政・民間サービスなどの具体的情報の窓口が必要である。この点は、私たちがやっていかなければならないと、強い責任を感じた。

今回のイベントは日ロデジタル協力分野のキックオフイベントであり、今後も具体的なテーマや目的に絞って、同様のイベントが開催される可能性がある。日本におけるロシア年、ロシアにおける日本年である今年は、他にも様々なイベントが企画されており、これを機に、沢山の日本企業に自らの目でロシア市場を見て頂きたいと思う。また同様に、ロシアからも多くの企業が日本に訪れることを願うばかりである。

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